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船井総研総経理からの中国コンサルティングレポート

2012年11月度コンサルティングレポート

ビジョンと戦略なき中国ビジネスのリスク

船井(上海)商務信息咨询有限公司 中野 好純

日中関係の悪化で日系企業は依然として苦境に立たされていますが、中国の経済は日本で報道されるような停滞気味では全くありません。特に最近は韓国と台湾企業の躍進が各業界で目立っていますし、オンリーワン技術を持つ欧米企業も相変わらず元気です。そして何より中国ローカル企業がここ数年でどんどん力をつけてきているようです。

これがどういうことかわかりますか?巨大な市場である中国で、日系企業だけが一人負けしだすリスクがあるということです。日系企業の中でも元気な会社は結構ありますが、停滞気味の会社が全体の7~8割くらいはあるのではないかと推測しております。このレポートでも過去に何度か触れましたが、中国市場において各国の中国総経理を比較すると

欧米企業:抜群のエリートを送り込む

韓国企業:将来社長にしたい人材を送り込む

台湾企業:中国と人脈の強い人材を送り込む

日系企業:本社が管理しやすい現場の責任者を送り込む

といった図式が見えてきます。欧米企業と韓国企業は現地のトップにかなりの権限と責任を与えます。特に欧米企業の中国トップは帰任後の自分のキャリアアップを目指すか、大きな成果を残してヘッドハンティングされた時の市場価値を上げることに本気になっております。韓国企業の中国トップは本気で本国も含めた会社全体のトップになりたいと思っています。台湾企業の中国トップは人脈を活かして独立起業することを狙っていたりします。共通して、日系企業以外の中国総経理は相当な野心家であると言えます。一方で日系の総経理はどうでしょうか?何割かの人は経営者マインドに溢れて、欧米、韓国、台湾に負けない野心を持っていますが、少数派です。多くの日系企業の総経理は日本でいえば、比較的年配の課長級、部長代理級の人が現場責任者として粛々と日々の業務に励んでいることが多いのです。何年か経つとどんどん中国市場においてライバルと差が開く結果に繋がってしまいます。

先日参加したセミナーでインテリジェンスの金総経理もお話しされていましたが、中国の総経理の本来の仕事は、①ビジョンを示すこと ②戦略を構築すること ③戦略を実行する人を任命すること ④プロセスと結果を管理すること そして共通して⑤適格な判断を即時下すこと にあると考えます。決してローカルスタッフと本社の間に入って、メッセンジャーの仕事をすることではありません。長年中国で事業を続けている日系企業も、ビジョンと戦略が欠落して、日々のオペレーションに終始しているケースが多々見られます。これでは、目先の業務は回りますが、5年後の大きな成果は期待できそうにありません。船井総研上海では、早期にビジョンと戦略の立案をできるだけ精緻に明文化するお手伝いをしていくべく、日々提案しております。余談ですが、社長の一族が総経理として赴任している日系企業はサラリーマン総経理のケースに比べて、明らかに業績を伸ばし続けています。特に日系ではないローカル市場にかなりスピード感を持ってアプローチしております。やはりトップで99%決まるという考え方は中国でも当然当てはまりますね。

連絡先:yosh@funaisoken.com.cn
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